手嶋龍一

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メッセージ

武力の行使にいたる決断とは

 ジャーナリストとは、つくづく因果な商売だと思う。本質的には他律的な仕事なのである。猟犬としての本能に導かれて、狙いを定めた標的に一歩一歩にじり寄っていく。そのどこが他人に律せられているというのか、と思われるかもしれない。だが、ジャーナリストがニュースを恣意的に創り出すことは許されない。眼前に新鮮なニュースの素材があってこそ初めてプロの腕を揮うことができる。それゆえ、われわれの仕事は常に受け身にならざるを得ないのである。
 この仕事の主導権は相手が握っている。その結果、我が身辺には様々な悲喜劇が起きる。ワシントン・ボルティモア国際空港での出来事だった。ワシントン特派員としての多忙な仕事の日程をあれこれ遣り繰りして、ようやく夏休みを確保した。それを受けて、我が家のプライベート・エージェント、つまり家人がスペイン旅行の精緻な旅程を練りあげてくれた。LCCとマイレージを組み合わせて芸術的で格安の工程が組みあがった。たった一つの疵はノン・リファンダブル、つまり変更は許されず、払い戻しもできない。

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独裁の宴 世界の歪みを読み解く

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 トランプと金正恩は「言葉の戦争」を繰り広げ、東アジアは危険な水域に――。日本は北の核・ミサイル危機にどう対処するべきか。米朝衝突の危機に加え、帝国主義化する中露の指導者は独裁色を強めつつある。グローバリゼーションの進展で、経済も政治も各段にスピードが早くなり、国家の意思決定はますます迅速さが求められるようになった。手間もコストもかかる民主主義への市民のいらだちは募るばかりだ。しかし、だからといって、民主主義は捨てられない。こんな乱世のリーダーはどうあるべきなのか......。