手嶋 龍一(てしま りゅういち)
外交ジャーナリスト・作家
外交ジャーナリスト・作家。元NHKワシントン支局長。2001年の9.11テロ事件では11日間にわたる24時間連続の中継放送を担当、冷静で的確な分析が視聴者の圧倒的な信頼を得た。
1980年代からノンフィクションの書き手として注目され、自衛隊の次期支援戦闘機の研究開発をめぐる日米の暗闘を描いた『たそがれゆく日米同盟―ニッポンFSXを撃て』や、湾岸戦争での日本外交の迷走を活写した『外交敗戦―130億ドルは砂漠に消えた』(共に新潮文庫)は現在も版を重ねるロングセラーとなっている。
NHKから独立後の2006年に発表した『ウルトラ・ダラー』(新潮社)は日本初のインテリジェンス小説と呼ばれ、33万部のベストセラーとなる。次いで、情報小国ニッポンの覚醒を促した新書『インテリジェンス 武器なき戦争』(佐藤優氏との共著)、『ライオンと蜘蛛の巣』(共に幻冬舎)、『葡萄酒か、さもなくば銃弾を』(講談社)などを著す。
2010年2月、最新小説『スギハラ・ダラ―』(新潮社)を上梓。世界を震撼させた幾多の国際金融事件と、第二次大戦中、日本人外交官杉原千畝が発給した「命のビザ」で生き延びたスギハラ・サバイバルの存在をつなぐ驚愕のインテリジェンス小説として話題を呼んでいる。続いて9月には、世界29都市に生起する情報戦を綴ったルポルタージュ『インテリジェンスの賢者たち』(『ライオンと蜘蛛の巣』改題、新潮文庫)を、さらには環境問題を外交の重要テーマとして論じた『武器なき“環境”戦争』(池上彰氏との対論、角川SSC新書)』を著す。
2011年12月、ノンフィクション『ブラック・スワン降臨 ~9.11-3.11インテリジェンス十年戦争~』(新潮社刊、改題で新潮新書『宰相のインテリジェンス』)を発表。2001年同時多発テロ事件から2011年福島第一原発事故までの十年間を検証し、日米両国のリーダーシップの有りようを描き出した。21世紀、激動の東アジアにおける日本の針路を考える必読書との評価を得ている。2015年9月には佐藤優氏との共著『インテリジェンスの最強テキスト』(東京堂出版)を上梓。日本の現状を踏まえたインテリジェンス論の決定版と評されている。佐藤氏とは、インテリジェンス対論三部作(『賢者の戦略―生き残るためのインテリジェンス―』『動乱のインテリジェンス』『知の武装―救国のインテリジェンス―』を出版している。2016年11月には、書下ろしノンフィクション『汝の名はスパイ、裏切り者、あるいは詐欺師~インテリジェンス畸人伝』を発表。現代史を彩るスパイたちの人間味溢れる物語を通じて、情報の世界における人間力の重要性を説いた。
外交・安全保障問題をめぐっては新聞・雑誌にも寄稿。北國新聞が掲載するコラム「北風抄」を定期的に執筆している。
1990年代初めに上梓したノンフィクション『ニッポンFSXを撃て』(新潮文庫『たそがれゆく日米同盟』)と『一九九一年 日本の敗北』(新潮文庫『外交敗戦』)はアメリカ側の注目も集め、1994年、ハーバード大学・国際問題研究所(CFIA)にフェローとして招聘された。そこで黒衣の政治学者と呼ばれるカトリック神父のブライアン・ヘア教授をはじめ、『文明の衝突』で著名なサミュエル・ハンティントン教授、国防次官補を務めたジョセフ・ナイ教授、さらにはリベラル派の代表的論客、スタンレー・ホフマン教授らの指導を受ける。
1995年から1997年までNHKボン支局長、1997年から2005年までの8年間、ワシントン支局長を務める。この間、米ソ冷戦の終焉に立ち会い、ブッシュ大統領はじめ重要閣僚の単独インタビューも数多くこなした。11日間、24時間連続の中継放送を担当した2001年9月11日の同時多発テロ事件の模様は「そのときホワイトハウスは」(月刊『文藝春秋』)に記録したのをはじめ、NHKハイビジョンスペシャル『聖戦への暴走』、NHKスペシャル『一年目の真実』などの大型ドキュメンタリー作品に描く。このほか、ホワイトハウスの極秘録音テープをスクープ取材した『決定の瞬間 記録されていたキューバ危機』(1998年)、『外交の瞬間 71年・ニクソン機密テープが語る米中接近』(2005年)の制作にも携わる。
外交・安全保障を中心に後進の指導にも積極的に取り組んでいる。
北海道出身。慶應義塾大学経済学部卒業。
2006年~2012年 早稲田大学政治経済学部大学院客員教授。
2006年4月~2015年3月 慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネージメント学科専任教授。
手嶋龍一オフィシャルサイト http://www.ryuichiteshima.com
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