手嶋龍一

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公安調査庁―情報コミュニティーの新たな地殻変動―

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公安調査庁―情報コミュニティーの新たな地殻変動―

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 公安調査庁という組織は、日本政府のインテリジェンス・コミュニティにあって、中核を担う情報機関なのですが、その素顔は驚くほど知られてきませんでした。
 その理由を共著者の佐藤優さんは次のように述べています。
 「表面上、秘密工作が首尾よく進んでいるときとまったく何もしていないときが同じに見えるというのが、インテリジェンス活動の特徴だ」
 けだし名言であると思います。とりわけ、公安調査庁は、赫々たる戦果をあげたときですら、いや、そんなときに限って、政府部内でも実績をアピールすることがありませんでした。インテリジェンス機関としての嗜みとしては、そうあるべきなのかもしれません。しかし、これでは納税者や国会そしてメディアの理解を得られないのは当然です。
 その一方で、外国の情報機関は、公安調査庁をかなり正確に捉えて評価を与え、カウンターパートとしてきました。この組織に対する理解は、内外で奇妙な逆転現象を生じているのです。そこで佐藤優さんと私は、知られざる公安調査庁の情報活動を実態に沿って紹介するため本書を編むことにしました。
 公安調査庁は、逮捕権もなく、常の強制捜査権も持たない、インテリジェンス機関です。そのうえ、予算も少なく、人員も限られており、日本の社会から必ずしも認知されているとは言えません。そんな「最小にして最弱」のインテリジェンス機関の素顔を、本書を通じてお伝えすることができれば幸いです。

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