手嶋龍一

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「外務大臣独占インタビュー『アメリカは核の傘を確約した』」

「麻生太郎外務大臣に聞く」

手嶋 先日、テレビ番組で田原総一朗さんから、「北の核実験を受けて、アメリカのライス国務長官は日、韓、中、ロの各国を歴訪して精力的なシャトル外交を繰り広げている。しかるに、わが外務大臣は少しも動こうとしていない」と質問を受けました。私は「麻生外務大臣の側に立って釈明しているのではありませんよ」と前置きして、「在京の有力な外交官たちは麻生外相の水面下の動きをつかむのには手を焼いているようですよ。今こうしている間にも、水面下で何をしているのか、眼を離せない」と言ったのです。

もし、何もせずに、昼寝などしていたら、放送で事実をたがえたことになってしまうのですが。

麻生 それはえらいことだ(笑)。北朝鮮の核実験が明らかになって、最初にやるべきことは明白。日米安保体制がきちんと作動することを再確認することです。

今回、実験があったと聞いたわずか二時間後に、日米韓の三国外相が電話で話をしております。その後間髪を入れず、中国、ロシアの外相との電話会談を組ませました。国際的には事は、ミサイル発射とはわけが違いますから。わが国はもちろん、各国とも対応は素早かったですし、日米安保体制を基軸に対処していくんだと、そういうアメリカの姿勢がすぐ明確になりました。

手嶋 この問題が起こり、ライスさんが急遽日本に来ましたが、記者会見で「日米同盟の抑止力は万全だ」と発言した。この言葉は、まさにそうした日本側の働きかけを反映したものだったわけですね。

麻生 彼女の東京での第一声がそれだった。韓国でもほぼ同じことを言っています。

手嶋 日本のメディアにしてみれば、ここは解説のしどころのはずです。しかし、あのライス発言に対する核心を衝く論評は見当たりませんでした。

麻生 残念ながら少なかったですね。そこの分かるジャーナリストが、外交とか防衛関係とかの分野には絶対必要だと感じるのですが。

そもそもこういう事態に至ったとき、日米同盟の真価が発揮されます。わが国はこれまでアフガニスタンにしろイラクにしろ、日米同盟堅持の立場を貫いて努力してきた。違いますか。国連安全保障理事会の場で、わずか六日のうちに全会一致の北朝鮮制裁決議を採択できたのだって、そうした努力の賜物と言っていい。あの言葉には、とても重い意味がこめられている。そう思います。

手嶋 同時に、「東アジアでの核抑止力は万全である。だから我々に〝核の傘〟はお任せください」というアメリカのメッセージも込められているように感じられます。すなわち、「〝北の脅威〟に対抗して日本は独自に核武装すべきだ」といった、日本国内の議論を牽制する狙いがうかがわれます。

麻生 それもあるでしょうね。当然のことながら、アメリカにとって日本の核武装は国益にかなうものではありません。

手嶋 なるほど。ただ、日本としても、決断さえすれば数カ月で核武装できる能力を持っているにもかかわらず、あえて核武装をしない。そうである以上、国際社会で、とりわけ国連で安保理常任理事国のイスを占め、拒否権を持って影響力ある地位につくべきだと思います。麻生さんも総務大臣時代から一刻も早く常任理事国にと強調なさっていました。北の核実験という事態に遭遇して、ライスさんもこの点では、ちょっと反省しているのではないでしょうか。

麻生 前回、ミサイル発射を受けて国連決議が出る直前でしたかねえ。決議案の中身など最終調整をしたとき、「やっぱり日本が常任理事国としていたほうがいいと思いませんか」と話しかけたんですよ。そうしたら、ライスさん一瞬絶句。それからニヤリと。まァ、あの笑いの意味は分かりませんが、この間北朝鮮をめぐる一連の事態への対応などを通じて、日本の政府や政治家に対するアメリカ側の認識が変わってきた。そのことは実感しますよ。こちらの反応が速くて明確であるという、そこへ寄せる信頼感が高まっているのは事実です。

国連ができてからすでに半世紀たっているわけで、大戦直後と二十一世紀の今とでは、いうまでもなく世界は大きく変わりました。二極化の枠組みは崩壊したし、加盟国自体、四倍近くに増えている。アジアだって当時は貧乏の代名詞だったのが、今や繁栄の象徴でしょ。そうした新しい状況を踏まえれば、「日本を常任理事国に加えたほうが、メリットが大きい」という方向性が、必ず出てくると思いますよ。

「日中友好」が目的ではない

手嶋 今年の五月に、麻生外相としては初めての日中外相会談をカタールのドーハで行いました。日本のメディアは、例によって靖国問題が障害となっているため、進展はないはずと思い込み、報道ぶりも月並みでした。しかし実はあそこが日中関係の修復に向けた最大の勝負どころだった。事実、あの会談を機に冷えきっていた日中関係は大底を打ち、改善の兆しが明確なものとなりました。もしあの日中会談で亀裂が埋められなければ、先日の安倍晋三総理の北京、ソウル訪問も実現しなかったのではないでしょうか。

麻生 今年三月に開かれた中国全国人民代表大会での、温家宝総理の挨拶や記者会見――これも日本のマスコミはほとんどフォローしなかったのですが、あれを聞いて中国の変化を感じたのです。中国が対日政策の変更を決意していたことが見てとれた。直後の橋本龍太郎元総理をはじめとする、日中友好七団体会長訪中時の挨拶を聞いても、胡錦涛国家主席が日中間の「困難性」について語ったのは後半の三分の一くらい。あとは温家宝総理と同じようなトーンで、日中関係の重要性を強調していましたからね。これは確信が持てた。ならば、こちらもしかるべく対応すべきだと。それが結果的にドーハでの会談につながったのです。

手嶋 外相会談では、李肇星さんと二人だけになって、英語でやりとりされました。あるヨーロッパの手練れの外交官は「あの会談の内容だけは、どんな手段を使ってもつかみたい」と言っていました。今なら少しだけ明らかにしていただけるのではありませんか。

麻生 私のほうからは、「お互いに、『日中友好』というのはやめたほうがいいんじゃないか」と言いました。友好はあくまでも手段であって、目的は「共益」だと。そこまで話すと、李さんは目の前の紙に「共益」と書いて、指差しながら立ち上がって、握手を求めてきた。そこからいろいろな話が始まりましたね。

手嶋 ほう、やはり、そんなやりとりがあったのですね。

麻生 例えば、〝政冷経熱〟とはいうけれど、このままでは「政冷」の悪影響は避けられないですよと。二〇〇五年の世界の対中国直接投資額は、前年比で〇・五%のマイナス。うち、日本だけが一九%という高い伸びを見せている。でも、政治的にギクシャクした状態が続いたり、中国があまりにも実利主義に走りすぎたりすれば、やがてこれも頭打ちになる。そうなって一番困るのは中国なのではないのですか――といった話を、率直にさせてもらいました。そもそも中国に出ている日本企業は工作機械とか部品とかの資本財メーカーが多いのであって、日本の投資がなければモノがつくれないのだから、我々と組むしかないじゃないですか。これが共益です、と。

手嶋 ここ数年、両国の間には常に靖国問題が立ちはだかっていたわけですが、この点については李肇星さんと英語で直にやりとりをされたのですね。

麻生 李さんは、「我々にとっては非常に深刻な問題でもあるのだ」と言うので、「この件で日中間のすべてが止まってしまうのは、両国にとって〝割が合わない〟じゃないか」という話をしました。まあ、中国側も事態打開のタイミングを計っていたのだと思いますよ。九月で小泉さんが辞めることは既定事実だったわけですから。

手嶋 ドーハの日中外相会談の後、今度は、総裁選直前の九月に都内で日中戦略対話が行われています。この席上、谷内正太郎外務次官が中国・外務省筆頭次官の戴秉国と新総理の訪中について話し合ったとされています。しかしながら、日本側はついに「靖国カード」をまったく切ることなく、安倍新総理の訪中、訪韓の実現につなげたのでした。麻生大臣本人が、背後で采配を振るったと、私は見ています。麻生大臣が谷内正太郎外務省事務次官に全権を委任して、戴秉国との交渉に臨ませたのではありませんか。

麻生 戴秉国という人は、重要な場面で、私の知る限り、ペーパーを読み上げたことが一度もない人物です。彼は、中国・外務省の中の地位はナンバー2でしょう。あんなふうに大胆なことができるのは、共産党の中で、地位が非常に高いということだと思うのです。それから彼は、胡錦涛国家主席と大変に近い人物だと聞いていた。戴秉国と話をしなければどうしようもないというのが、私が事前に得ていた情報です。

だから、私のほうは、「『靖国に行くな』などという条件は、日本はまったく飲めない。谷内次官に全部言ってあるから。谷内と話してそれで話がつかなければ、絶対それ以上話は進まないですよ」と中国側にも伝えたうえで、戴秉国との交渉にあたらせた。

手嶋 そして、靖国カードを切ることなく、安倍総理の訪中が実現したのですね。

麻生 ええ。だから、今回の安倍総理の訪中で、靖国に関して議論になるということはなかった。それは間違いがなかったと思いますね。

手嶋 麻生大臣は、スピーチの中で谷内次官について「カミソリなどとは程遠い、昼行灯のようだ」などと評したこともありますが、それでいて谷内次官を重用していますね。

麻生 谷内次官と一緒に仕事をするようになったのは、私が党政調会長だった五年くらい前からでしょうか。いろいろな会議で話をしていても、どういうわけか、彼とは常に結論が合うんですよ。どういうプロセスと思考回路でたどり着く結論なのかは一向に分からないのが面白いのですが――。そして、彼はぶれない。大変に有能な人物だと思いますね。

核実験は成功したのか

手嶋 まさに東アジアの国際政局は、大きく動いて、安倍さんの総理就任直後の訪中、訪韓となった。あの電撃訪問が実現しないうちに北朝鮮が核実験を実施していたら、近隣関係国との関係、ひいては国連決議の内容も、違ったものになっていたかもしれませんね。

麻生 確かにその通りなんですが、私は彼らの行動をまったく反対側から見ておくことも必要だと思うのですよ。つまり、あの時期に北朝鮮はなぜ核実験に打って出たのかです。子どもが親の関心を買うためにわざと悪戯をすることがあるというのは、心理学の定説のようですが、北朝鮮に同じような心理が働いた可能性は否定できないのです。「中国は対日政策を転換しつつあるようだが、俺がここにいることを忘れてもらっては困る」という。

十月十九日にソウルを訪問しましたが、もしかしたらそれに合わせて二度目の核実験をやるかもしれないという覚悟が、実はありました。そうなった場合、外務大臣が本国に不在でも迅速な対応が打てるよう、体制を整えて出掛けたということもありました。

手嶋 一方で、日米両国は「核実験が行われたらしい」という表現は使っていて、決して「成功した」と断定してはいません。麻生大臣ご自身も、一貫して「北朝鮮が核実験を試みたと言っている」という慎重な言い方をなさっている。果たして、こんなに注意深い人だったかと思えるほどです(笑)。

麻生 ずっとそう発言しているんだけど、気付いた人はほとんどいなかったねえ。

手嶋 今でも、あの核実験が成功したとは思っていないのではありませんか。

麻生 例えば、北朝鮮の前に核実験を行ったインド、パキスタンの場合でも、五、六回は数日内に実験を繰り返しています。今回は一回行っていますが、この一回ということの意味は何か。また、実験で生じた地震波が非常に小さかったのも解せません。

手嶋 成功していないとしたら、その原因が明らかになるまでは、二回目の核実験をすぐやるわけにはいかない。それで唐家●国務委員が平壌を訪れたときに、「当面実験はやらない」というようなニュアンスを恩着せがましく漂わせた。そうだとしたら、これはもう、北の独裁者もしたたかというしかありませんね。

麻生 ただ、この点で最も重要なのは、関係国が今回の核実験をもって北朝鮮が核保有国であるとは認めていない、という事実です。核保有国とされれば、もう六カ国協議に戻ることはできない。

手嶋 麻生大臣がそうおっしゃる以上、日本政府も北を核保有国と認めず、というのが、公式の見解と受け取っていいのですね。

麻生 もちろん。核を持たないというのが絶対条件で、これに関してはロシアも中国も韓国もみな同じスタンスです。

手嶋 裏を返せば、成功したかどうか、定かでないあの核実験だけで、六カ国協議への復帰を含む、話し合いの門戸を閉じたわけではないという含みがある。

麻生 北朝鮮は、マネーロンダリングの舞台になっている可能性があるとされたマカオの銀行「バンコ・デルタ・アジア」のアメリカによる制裁の解除など、経済制裁を取り下げるなら協議に復帰するのもやぶさかではないと主張するのでしょう。しかし、アメリカも、対話そのものを拒んでいるわけではありません。ただ、平壌まで直接話に来いといった要求に応じることはあり得ない。

思うに、北朝鮮の思惑は、〝核カード〟もちらつかせながら、「米朝対等に話ができるのだ」というのをアピールするところにあるのではないでしょうか。アメリカとの二者協議にこだわったりする理由は、そこにある。

手嶋 それが金正日体制を保全してしまうことにつながるからですね。

麻生 アメリカと一対一の場で、体制を崩壊させないという確約を取りつけたいんじゃないでしょうか。

ただ、一つ間違えないようにしなければいけないのは、「国際的な包囲網の中で、北朝鮮が孤立し、焦っている」という類の〝分析〟を新聞などでよく目にするでしょう。これ、果たして正しいのだろうかということ。北朝鮮は孤立するどころか、「核実験をやったために、自分は全世界から注目されている」という高揚感のほうが強いかもしれない。

手嶋 中国も、自分のところに〝来てくれた〟。しかも、唐家●に戴秉国という大物が、自ら足を運んだのですね。

麻生 今まで北京に呼ばれたことはあっても、今回のような形でしかるべき人間が平壌に来るなどということはなかなかなかったでしょう。「核を持った」ためにみんなが大事にしてくれるという北朝鮮の意識。そういう意識があることもしっかり計算に入れて対応しなければいけないでしょうね。

ポイントは北の出方

手嶋 予断を許さない北朝鮮の動きの一方で、八方ふさがりと言われ続けた日本外交には、久方ぶりに光明が見えつつあると思います。さしあたっての懸案事項である、「北方領土」「竹島」そして「拉致」――これら日本外交の足かせを断ち切れば日本外交の選択の幅がぐんと広がって、未来が開けるし、そのチャンスでもあると思います。麻生大臣としてはどのような布石を打とうとしていらっしゃいますか。

麻生 北方四島の問題については、早期に片付けるべきだと感じますね。ここ五年間ほどの動向を見ると、何よりもプーチン大統領が〝その気〟になっているように私には思えるんですよ。双方の努力が大事だろうと認識しています。

竹島を含む韓国との領有権の問題は、韓国側とEEZ(排他的経済水域)をめぐる話し合いを粘り強く続けながら、当面はその合意に至る以前の段階においても、近海での漁船の操業などが安全に行えるための交渉を積み重ねていくしかないでしょう。

北朝鮮による拉致問題は、これからが正念場ですよ。問題解決のためには、国際世論の後押しが不可欠ですが、隣国の中国でさえ、つい最近までほとんど事態を把握していなかった。G8で声明文に〝アブダクション〟(=拉致)という記述が盛り込まれたのは、今年五月のモスクワ外相会議が初めて。その後、国連総会の決議や、今回の安保理制裁決議などにも人道的懸案として記されたことで、初めて国際社会でクローズアップされるに至ったところです。

手嶋 主権国家としての凛とした姿勢を問われる重要問題でありながら、わが国でも、闇に光が当てられるようになったのは、ほんのここ数年のことです。

麻生 そうです。事件はもう何十年も前に起こっているにもかかわらず、警察もメディアも無視を決め込んでいたわけで。みんな腰が引けていたこの問題に日の目を浴びせたのは、当時の安倍官房副長官だというのが私の理解。ご本人が総理になられたのだから、政府としても力の入り方が違いますよ。現に、拉致問題担当の総理補佐官を置き、対策本部も立ち上げています。

手嶋 ただし、そうは言っても一筋縄ではいかない相手ですよね。

麻生 彼らには簡単に帰せない理由があるのでしょう。政府としてはあくまですべての被害者の生還を実現するとの決意で、困難でも最大限の努力をしなければなりません。

手嶋 そうすると、日本政府としては経済制裁を含めて、打てる手を粛々と打っていくしかない。

麻生 北朝鮮側にも、ここ数年で「拉致、核、ミサイルの解決なしには、日朝関係の修復はあり得ない」という日本政府の明確なメッセージが伝わっているはずです。「ここ数年で」というのが重要なところで。さっきも言いましたように、今までは、こうした問題が両国関係の前面に出ることがなかったのですから。

すぐに残りの拉致被害者を帰してくるような状況には至っていませんが、しかし、彼らの中にも何とか事態を動かさなければという気持ちは、多少なりとも芽生えているはずです。それを実際の動きに結びつけるのは、国際社会と連携した対話と、何といっても圧力。やはり、この状況では圧力がなければ北朝鮮は動かないでしょう。

手嶋 北朝鮮が核実験をやったと言っているこの時期にもかかわらず、「拉致、核、ミサイル」の順に課題を提起された。この麻生大臣の発言に、今の日本政府の姿勢が象徴的に表れているように感じます。北朝鮮が孤立を認識しているのか否かは別にして、客観的には国際社会からの非難を浴びて〝受け身〟の立場を余儀なくされている今は、拉致問題の進展を図るチャンスでもある。

麻生 私はそう思っていますよ。ただ、どうやって救い出すのかにはもっと知恵を絞らなければならないし、慎重に事にあたらなければならない。当たり前のことですが、「拉致被害者は生きている」というのが、日本政府の大前提です。

手嶋 あえておうかがいするのですが、核やミサイルの問題も含めて、北朝鮮に対してどのような〝次の一手〟を打つのか、あるいは打ちつつあるのでしょうか。

麻生 今回の核実験に対しては、ミサイル発射のときと違い、他国からの共感とか容認の空気はいっさいありません。だからこそ、安保理の制裁決議はスピード採択されたわけですが、そのせいもあって、例えば貨物検査の方法など細目を詰め切れなかった部分が残りました。ライスさんも来日の折にジョセフ国務次官という不拡散問題のプロを帯同していて、すぐに日本の外務省との具体的な協議に入ったのですが、こうした取り組み、国際的な制裁の包囲網は確実に整備されつつあります。

ただ、ミサイル発射以降の、一連の国際的なリアクションに対して、北朝鮮がどう出るつもりなのか。現時点では、ここがまだ見えてこない。しかし例えば、わが国の経済制裁だけとってみても、年間六七〇~六八〇隻は寄港していた北朝鮮籍の船舶はゼロになりました。日本の輸入もゼロです。これは相当、効いてくるはずだと思っています。こうした圧力に対する北朝鮮の出方を正確に見定めたうえで、次の手を打つということになるでしょう。今のところ、そのタイミングを明快に言うことは難しいのですが。

手嶋 何度も例に出して恐縮ですが、ある国の外交官は、「ミスター・アソウは『どうしていいのか分からない』と口にしながら、密かに石を外交という碁盤に打っている。手強くて、眼が離せない」と言っています。

麻生 仕事の中身をぺらぺらしゃべったりはしませんよ。勉強だって、「やってる、やってる」って言うのは、してない人間でしょ(笑)。

(聞き手:手嶋龍一)

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